慶應義塾大学理工学部電子工学科  神成研究室

HOME
HOME

卒業生からのメッセージ

富田雅也 75期卒業生(2018年度神成研修士修了)


・学生時代
私は学部生の頃は特にやりたいことも興味があることもなかったため, 特に入りたい研究室はありませんでした。実際にこの研究室にした決め手も懇親会の際に神成研究室の先輩に声をかけられたから, という受け身な理由です。しかし, その時に先輩たちがかっこよく見えたことと, 神成先生の厳しい指導を受ければ自分も良い影響を受けることができるのかもしれないという期待をもって配属希望を出しました。
 実際に配属されてみると, 自分が何もできないことを痛感しました。難しい研究内容に難しい実験, 何度も心が折れそうになったことを覚えています。そのため, この研究室で自分が役に立つには頭ではなく, 体を張るしかないとその時思っていました。初めは言われたことをただやるだけで精一杯でしたが, 実験を繰り返していくうちに自分にできることが増えていき, 次第に研究分野に興味が湧いてきました。また, 神成研では光の知識だけでなく, 電気回路の知識も必須であり, 今まで全く興味がなかった電気分野に触れる機会が多くありました。やったのは簡単な電気回路設計などでしたが, 自分で考えることを通じて研究以外の様々な分野に興味が湧くようになりました。
 結果的にみれば, 私は他の同期に比べてよい研究成果を出せていませんが, 自分の興味があることを見つけることができて, 非常に充実した研究室生活を送れたと思っています。研究を通じて電気回路に触れて制御系に興味がでたため, 今は制御設計の仕事に就いています。

・3年生へ
 最後に私が言いたいことは, “何にも興味がないなら, とりあえず色んな事に挑戦して自分ができることを増やす”ということです。そんなの当たり前のことだよと言われそうですが, 挑戦してできない場合は, 形だけでもできるまでやるというのが自分としては重要なことなのかなと考えています。そうすると, 自分のできることが少しずつ増えてきて, 何か強く惹かれるものに出会えると思います。
私みたいな興味関心が全くない人間でも, 神成研で挑戦的な課題に取り組むことで, 色んな事に興味や関心を持つことができたので, やりたいことがない人ほどオススメだと思います。できないことに積極的に挑戦し, ”Curiosity Driven“な研究生活を送っていただけたらなと思っております。

小島康裕 73期卒業生(2017年度神成研修士修了)


私が神成研究室を選んだ理由は、研究室見学を通して優秀な先輩に出会えたこと、神成先生が国際学会や論文投稿など対外発表のチャンスを多く与えてくれること、そして神成先生自身がとても情熱を持っていると感じたことでした。
実際に研究室に配属されると優秀な先輩方に圧倒されました。配属直後に先輩が国際学会で発表する姿を目にしたときは、あと一年で自分自身がこれだけ成長できるのかと不安に思ったこと、これから頑張るのだと強く意識したことを覚えています。
私も多くの人たちと同様に光についてはもちろん、そのほか深い知識があったわけではありませんでしたが、先輩や同期に助けてもらいながら研究を行い、神成先生とディスカッションをするなかで徐々にできることが増えたと思います。正直に言うと、研究がうまくいかずに辛い時間を過ごすことも多々ありました。しかし、それらを乗り越えて、研究成果を国際学会で発表したり、論文投稿ができたことは大きな自信となりました。結果的に私の研究室生活はとても濃密で充実した時間であったと自負しています。
・3年生へ
研究室選びでいろいろ悩むことがあると思います。神成研究室は、光に興味があるならもちろん、具体的な分野を絞り切れない人にも勧めることができます。これは研究を通して、光や研究プロセスだけでなく様々なことが学べて、貴重な経験を積めるチャンスが多いからです。この学びや経験の中には、修了後にどんなキャリアを歩んだとしても必ず役に立つものがあります。金融機関で研究分野とは全く関係のない研究開発の仕事をしている私でさえ、研究を一通りやり切った経験や、論文を読んだり、数値計算した経験はそのまま活きていると強く実感します。神成研での研究生活は大変かもしれませんが、修了後には必ず神成研究室でよかったと思えるはずです。
これを読んでいるということは少なからずこの研究室に興味があるということだと思います。そうであるならば、とりあえず研究室を見に行ってください。ちょっとした行動は人生を大きく変えます。抽象的な私の文章ではなく、神成研究室を訪れて具体的に自分の近い未来をイメージしてみてください。

田中裕樹 71期卒業生(2018年度神成研博士修了)


【神成研究室への配属を考えている学生へ】
私は学部3・4年生の間、ダブルディグリー・プログラムという交換留学制度を使用し、フランスのリヨンという街にある大学に2年間留学していたため、神成研究室へは修士課程から配属されました。本来学部4年次にこなすはずであった卒業研究を経ずに修士一年生となってしまったため、配属当初は非常に不安でしたが、神成研究室ではきちんと先輩から後輩への知識・技術・ノウハウが受け継がれています。チーム内での勉強会や実験の引き継ぎがきちんとオーガナイズされており、極めて面倒見が良い研究室かと思います。神成研究室は同学科の他の研究室と比較して、個人ではなくチームで研究するという意識が強いです(勿論その中で学生それぞれが各自のテーマを持っています)。そのため新しく入ってくる学部4年生へのサポートも非常に厚く、全体で基礎の勉強をした後、チームごとに勉強会をしてサポートするのが通例です。神成研=まじめ・堅い、なんていうイメージを持っている学部3年生が多いかもしれませんが、メンバーは皆明るく気の良い奴ばかりで、飲んで騒いでも大好きです(先生も飲み会の時は気さくです)。メリハリが利いているところも神成研の大きな魅力の一つです。

【卒業して改めて感じること】
2018年度秋に後期博士課程を修了し、現在はドイツの首都ベルリンにあるライプニッツ結晶成長研究所(Leibniz-Institut für Kristallzüchtung)にて、これまでの経験を活かし、ポスドク研究員として固体レーザ材料に関する研究に携わっています。神成研究室では触れることが無かったレーザ材料の結晶成長に関する研究も始めたため、日々新しい発見の連続です。仕事を始めてからこれまで、海外の研究環境の良い点・悪い点に加え、神成研究室の良い点を再確認する機会が多くありました。残念ながら、塾内研究室における博士研究員と博士課程学生の数は海外の研究機関と比較して非常に少ないのが現状です。その一方、修士学生が持つ責任・裁量権は極めて大きく、修士学生でありながら博士学生と同レベルで研究を遂行できる学生を多く見てきました。学会等で米国やヨーロッパの博士学生による素晴らしい発表を見る機会が多くありますが、劣等感を感じる必要はありません。優秀そうな学生の裏にはプロの研究員や技術員による手厚いサポートがあります(発表している学生が優秀かどうかはさておき)。神成研究室の限られたリソースの中で結果を出し、国際会議で発表し、論文投稿まで漕ぎ着ける学生はもっと自信を持って下さい。国立大学の研究所や海外の研究所では様々な技術面でサポートしてくれる技術員が必ず居ます。勿論私の職場にも多くの技術員が居ますが、彼らが担ってくれる業務の殆どは、神成研であれば学生が当然のように行っていたことです。何でも自分でやらなければならない環境であったからこそ、様々な知識や技能を吸収する機会が多くあり、現在仕事をする上で、それらの経験が非常に役立っています。

田辺孝純 58期卒業生 (2003年度神成研博士号修了)
日本電信電話(株) NTT物性科学基礎研究所 を経て、慶應義塾大学理工学部 教授


私は中学生の時に見たテレビ番組「電子立国日本の自叙伝」に影響されて電子工学科に進みました.
比較的早くから博士課程に進学したいと思っていましたが,具体的に何をしたいかというイメージは漠然としか持っていませんでした.ゆえに研究室選びでは多くの研究室を見学しました.
その中で神成研に入りたいと思ったのは,説明してくれる先輩がとても頼もしく見えたからです.自分の研究を活き活きと,またわかり易い言葉で説明してくれる姿を,自身の将来の姿と重ね合わせていました.
実際に神成研では「5つの力」という形で,自分で問題を発見して解決していく力を養うことができました.これは現在の仕事を進める上でも基礎となっている重要な力です.
現在はフォトニック結晶と呼ばれる人工光学材料の研究開発に携わっています.中学生の時にテレビ番組で感銘した電子技術の粋を集めた集積回路を,今私は光技術で置き換えようとしています.具体的にはナノ加工技術と光技術を組み合わせて,光を微小空間に閉じ込めたり,光の速度(毎秒30万キロ)をロケット並み(毎秒数10キロ)に遅くしたり,世界最小エネルギーで動作する光のトランジスタを実現させたりしています.また今の職場では自分の成果を報道発表したり,ノーベル物理学者等の世界的に著名な先生を相手に研究を紹介したり,はたまた研究をお笑い芸人に説明したりと,普通なら滅多に経験できないような機会にも恵まれています.
私自身も,大学3年生のときに研究室説明をしてくれた神成研のあの先輩のように,活き活きと現在の仕事に打ち込んでいます.このように胸を張って言えるのも,研究者としてスタートした大切な時期を厳しくとも大いに力を伸ばすことのできる研究室で過ごすことが出来たからだと思っています. 

鈴木重成 57期卒業生


●[現在の研究]
私は量子光学の分野で研究を行っています.スクイーズド光や光子検出器を使って光の量子状態を制御する実験系の立ち上げをしています.実験系の設計,部品の調達,制御器の開発など地道な作業をしながら日々を送っています.実験そのものは基礎物理の域を出ないものですが,そのはるか先には量子情報処理という目標があります.
●[学生時代]
私はB4かM2までを神成研で過ごし,ある自動車メーカーに就職しました.そこで働くうちに博士号を取りたいという思いが強くなり,再び大学院で学ぶことを 決意しました.その際,また神成研を選びました. 前回の学生時代も,会社員時代も量子力学に縁などなかったのですが,二度目の 学生生活では何となく量子光学に興味をもち,博士論文のテーマとしました.その中で,情報通信研究機構(NICT)や東京大学大学院の古澤研究室など外部の研究 機関で学び研究することができ,この分野で先生から直接指導して頂いたりもしました.
●[神成研の特徴]
「工学」という言葉に,皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか. おそらくは「理学から得られる知見に基づいて目的を達成するための方法論」に ついて研究する学問というイメージを持っているのではないかと思います.そして,「技術」とは「工学」から生み出されるものであるというイメージも持って いるのではないかと思います. しかしながら,他の研究室や企業における現場では,必ずしもそうではありません.適当に色々なパラメータを振って上手くいくところを探したり,今ある技術 を少しだけ手直ししたり,(悪い言い方をすれば)いい加減かつ保守的な手法で技 術開発を行っているところが多くあります.実際,限られたコスト,時間そして 人手(人数そして能力において)を使いつつ何かを生み出すためには,こうしたア プローチがきわめて有効です.ただ,こうした現場では,皆さんがそのポテン シャルを発揮できない可能性が高いと思います. その点,神成研は工学に基づいた技術開発を行っている場所だと私は思います. 知識を吸収し,それを応用して新しい何かに挑戦したい人には良い場所でしょう.反面,新しいことに挑戦しても成果が現れるまでには時間がかかります.そして,成果を出し続けなければ研究室は資金を調達できません.これは,神成研 の持つ実績や能力の割には,研究資金が余るほどない理由で,大学の研究の辛い ところでもあります.金銭的,精神的そして肉体的にはタフなことが多いと思い ますので,それが嫌な人にはお勧めできません.
●[五つの力]
神成研に興味を持つ人の多くは,例の「五つの力」というキャッチフレーズに惹 かれているものと思われます.実際に,社会で必要とされる能力は見事なまでに 「五つの力」として要素化できます.しかし,実際にこれらの能力を身につけ自 信を持って卒業・修了できるかは,多分に皆さんの心がけと運にかかっています . なお,これらの能力を身につけたという自信が卒業・修了時にはなくても,実は 知らないうちに身についていたということは多いと思います.たとえば,新しい研究を立ち上げたばかりの人が辛うじて修士論文をまとめても,「研究を収束さ せた」という自信は持てないでしょう(限られた成果から一つの方向性を捻り出してまとめ上げるというのも,大切な能力の一つではありますが). なお,神成研においては,プレゼンをする機会がきわめて多くあります.よほど投げやりに臨まなければ,発表する能力については確実に身につくでしょう.

大塚京 57期卒業生

●氏名 大塚 京(おおつか きょう)
●生年月日 1976年2月8日
●最終学歴 修士
●就職先 株式会社リクルート
●現在の仕事 リクルートWeb商品のシステム開発
● 神成研の研究生活を通じて得たもの
 ①目の前にある「課題解決」でモノを作るのではなく、 何の目的で何を達成したいか、その定量的効果は何かをトップダウンから考えて一気にモノを作ることとその推進力、実現力。
 ②作ること、実験することがとってもとっても楽しいという事実!
● 最近では…
どんな事でもその因果関係と全体図の両者を互いに頭においてバランスよく考えることがとても大事だと思っています。これは研究室で学んだことが生かされています。もうひとつは協力して仕事をすること。目の前に見える成果にとらわれてはいけないと強く思っています。会社では研究室時代で得ることが出来なかった新しい価値観とか視点をずいぶん勉強させていただいています。
● 神成研に興味を持った3年生にひとこと
周りの人の意見や情報に惑わされて、結局自分は何がしたくて、どう選んだらいいのか、最近はお手本がなくなってきていると聞きます。でも、自分がどういう理由で判断したのかという考えをしっかり忘れないで持っておくと、あとからどんな苦しいことがあっても乗り越えられます。神成研は、研究を通してそういったプロセスを十分勉強できるところです。レーザに興味を持っているならもちろん、なんだかよく分からないなーという人も、今後社会に出て絶対役に立つ「知恵や姿勢」を身に着けることができると思いますよ。

小川武史 57期卒業生


●自己紹介
2001年に修士課程卒業 大成建設株式会社 設計本部に就職 現在、電気設備を中心とした設備設計業務に従事 時折、新宿界隈で見っとも無い姿を披露 具体的内容)
①お施主様と協議の上、建物の電気設備の仕様を決定する。
②建築設計者・構造設計者と十分な打合せを行い、設計図面を作成する。
③図面発行後は、図面通りに施工するように現場監理する。
④その他、リニューアル提案も行い、何とか受注に結びつける。
どちらかというと、技術営業に近い職務です。
● 私の研究室に入ったわけ
大学3年次の冬、学業成績・サークル活動・アルバイトどれをとっても中途半端・・・このままだと、人に聞かれても、自分の中でも「学生時代、これだけは一生懸命打ち込んだっ!」という満足できるものがありませんでした。しかも、このまま卒業して社会の荒波に飛込む勇気もなく学生生活を延長したい一心でした。そこで、修士課程に行こう!(注)という甘い考えで、当時厳しいと評判の神成研の門を叩きました(満足に卒業できるような学業成績でもないのに・・・)。研究室に入ってからの実情は兎も角として、一応、やる気を持って研究室に入ったことは確かです。(注:大学・大学院はわざわざ授業料を納めてまで学業に打ち込む場です。再認識ください。) ● 研究室で学んで欲しいこと
卒業後3年ほどしか経過してないにも関わらず、修士論文で苦労したはずのレーザ・フーリエ変換・カオス理論は、あまり憶えていないのが実情です。所詮、修士課程2年間で得る専門知識はその程度のもので、私的には、研究室ではそれ以外のことを修得して経験して頂きたいかなと思っております。以下に、その内容を列挙します。
- 「自分がどこまで追込めるか、またその限界」
 これは、その後の人生に於いて非常に意義のあることです。卒論・修士論文前、期限のプレッシャーの中での連日の徹夜作業等で体験できます。その極限状態の中で、楽な方向に逃げようとする自分が判ります。また、些細なことで喜怒哀楽するようになります。その結果、自分の能力限界も判りますし、その後の人生で少々辛いことがあっても、「あの時に比べりゃ、たいしたこと無いな」と自信が持てるようになります。ただ、本当に体を壊したら元もこもありませんので、あしからず。 - 「プレゼ資料の作り方」
 卒論・修論・学会等でプレゼ資料を作成する機会が多くあると思います。ただ、
  ・何のためのプレゼか?
  ・聴く相手はどういう人か?
  ・自分の主張
・アピールすることは何か?
それらを再認識すると、おのずと「戦略」が生まれてきます。何をどういった順番で説明するか。最近はPCを駆使した、小手先の見栄えばかりが素晴らしいものが多い気がします。資料作成時には、まず手書きでOKですので、頭を使うドラフト(草稿)を行い、次にCAD化等の資料作成(作業)を行って下さい。社会ではプレゼをしたくても出来ないケースの方が多いです。その機会を大切にして下さい。 自分自身は、その場凌ぎの発表を繰返しましたので、私と同じようになって頂いたら困るという助言です。
- 「飲み会・研究室旅行等の幹事」
幹事とは大変難しいものです。例えば、忘年会に特化して説明しますと、 「月・水はバイト」「鍋が良いなー」「座敷はやめて」 「おれ今月あと5,000円しかない・・・」「ビンゴ大会がしたい」 と、参加者が10人いれば10人の希望があり、予算があり、そうかと言ってそれらを100%満足させるには運営に支障をきたします。その辺りの折衝を行い、計画を立案します。当日は当日で、幹事が酔っ払わない程度に宴を進行させ、会計を行います。さいごに〆の挨拶・行事を行いまして、遅滞なく2次会の会場へ誘導する。そんなところでしょうか。実際のところ、何が難しいのかと言いますと、上手にできて当り前と思われがちだからです。 今の世の中は、組織業務中心です。各専門のスペシャリスト達に依頼し、アウトソースするのが当り前で、一人で全てのことが出来る人は居ないでしょうし、そういう機会もまず無いでしょう。となると、組織業務を円滑にするマネージャー的役割の人が必要となります。業務経験年数とかでなく、自分がその役割を担う場合も多々あります。その際に、予算・工程を踏まえた「段取り」能力が求められるのです。その能力を養う絶好の場が飲み会・遊びの幹事なのです。たかが幹事、されど幹事。ですから、積極的にチャレンジしてみて下さい。 (段取りにおける小川の定理) 「幹事の段取り = 仕事の段取り」 ⇔ 「幹事が出来れば、仕事も出来る」 ちなみに、私はあまり得意ではありません・・・
以上、偉そうに書かせて頂きましたが、これらは私自身ができなかったことです。今だからこそ、「こういうつもりで、学生時代を過ごせれば良かったなぁ」と思う次第です。
● 最後に
神成教授の性格上、成果に対して素直に誉めて頂ける機会は少ないと思います。だからこそ、お褒めの言葉には価値があるのです。卒業までには、何とか「良くやった!」と言わしめるように頑張って下さい。また、遊興で親しくなった友達は長続きしないものです。同じ苦しみを共有した友人こそ、その後に会う機会が少なくともずっと親しくできる友人と思う今日この頃。そういう意味では、厳しく指導して頂ける神成研究室は良い友に巡り合える場です。 そういう意味では、神成研究室の門を叩いて良かったと思います。御指導頂いた先生・OBの方々はご存知ですが、本当に、とんでもない学生で、とんでもないまま卒業するところだったのです。正直、救われたと思っています。では、いまは優秀な社会人なのか?と言われると、「YES!」と自信満満に言えませんが・・・ このページを書くにあたって、神成教授に「良く宣伝してくれ!」という依頼は一切ありません。ありのまま書いてやろうと思いながら、当時を思い出していくうちに感傷的になり、結果的に神成研をヨイショすること書いたかもしれません・・・残念

鈴木寛之 54期卒業生



神成研で学んだことは「自己主張」と「独力でやる力の養成」、「忍耐」でしょうか。
● 自己主張
入社した時、一番強く感じたのは、理系の人間と文系の人間の差でした。
理系の人はどうも消極的というか、自己主張がない傾向にあるようでして、 何を言いたいのか、何がしたいのか、 はっきりしない人が理系の人には多いことに気づきました。 ではなぜ、入社するまで気がつかなかったかというと、 神成研では、はっきり物を言う、自己主張の強い人が多いかったからです。 自然と、自分の意見を持つ、はっきり外に発言するという観念を抱くようになりました。 そうなる雰囲気が神成研にはあるのかもしれません。 では、みんな個性的だからバラバラか?っていうと、全然そんなことはなく、 お互いいつでも助け合う。ちょっと不思議な世界が広がっています。
● 独力でやる力
ある意味、「積極性」と似ているかもしれません。 実は誰もが独力で物事を進められると思います。 まして、慶應の学生なら言うまでもありません。 ただ、実際にそうなるためには、最初にある種の壁を突破する必要があり、 少しでも早くその壁を越えて、自分が日常の使える力とするかがポイントだと思います。 早くこの力を身に付ければ付けるほど、いろいろな意味で優位だからです。 神成研での、研究生活は決して楽ではないです。心してかかるべし。 でも、後で気づいた時にはこの力は既に身に付いているし、 その時には、以前には気づかなかった世界と観念が広がることでしょう。
● 忍耐
今、私は開発職でもあり、設計・製造職でもあるのですが、 製造職の業務内容は泥臭いところがあり、 精神的にも肉体的にも鍛えられるところがあります。 とはいえ、そんな状況もたまにしかありませんが、 神成研でこのあたりも鍛えられたかなあ、というのが私の今思えば、という所です。 (つまるところ、それだけ、やっつけられた?ってことです)
___________________________________________________________________
自分の目標が何であるのか、そのためには何をすれば良いのか、 目先のことではなく、5年も10年も先の自分を想像し、 そのためには何をすれば良いのか、考えてみてください。 (難しいことだけど)
自分にとって、神成研とはそういう物事の見方に気づかせてくれた所であったし、 非常に前向きな人達との生活であり、ものすごく意義があったと今でも思っています。

三浦泰祐 54期卒業生


●神成研での生活と学んだこと

私は落ちこぼれ学生だったので、研究室選びにもこれといった信念はありませ んでした。それでも神成研を志望したのは、研究室紹介のときに神成先生の話 が印象的だった事と、先輩方が妙に(すいません)熱意にあふれていたためでした。ここに来れば自分も少しはましになれるかもしれないと考えたのです。
運良く神成研に配属されてから、最初は大変苦労をしました。先生に叱られる 夢もよく見ました。 (卒論前は連日徹夜で夢を見ている余裕もありませんでしたが)
それでも修士、博士課程へ進学しようと決意したのは、本当の達成感や充実感 は、最後まで妥協しない姿勢を貫いてはじめて得られるものであると、この研 究室で教えられたからです。現在も自分の研究生活において99%は胃の痛い日々 ですが、本物の達成感が得られた時の快感は何事にも換え難いものです。
私は修士2年から博士課程修了まで、つくばの電総研(今の産総研)で研究をさせていただいたため、他のメンバーほど研究室に詳しくはありません。しか しそのおかげで、研究費が潤沢にある場所での研究体制と、他大学から来た学生の様子を知る事ができ、結果的に神成研のすごさを客観的に捉える事ができ ました。
(恐縮ですが)神成研の実験環境は恵まれているとは言い難いです。しかしそこから生み出される結果は、外部からの評価が非常に高いのです。これは神成研のメンバーが、結果をまとめてきちんと考察し、外部に成果をアピールする能力が優れているためなのだと気付かされました。この「結果をまとめる能力」が技術者や研究者にとって最も重要であると、この研究室で学ぶことができた のです。 今でも基本的には落ちこぼれですが、「タフな落ちこぼれ」にはなれたと思います。

●3年生へのメッセージ
神成先生はとても面倒見の良い先生だと思います。しかし面倒見が良いとは、優しいとか世話を焼くのが好きと言う意味ではありません。言われた事だけをこなしている間は、自ら考える力をつける機会を放棄してしまっていると気付いてください。
自分から行動を起こせば、先生は必ず応えてくださいます。社会人になれば、そのような上司がどんなに得がたい存在であるかがきっと分かります。ぜひ神成研で切磋琢磨し、自身に言い訳をしない自分というものを造り上げてください。

●近況報告
現在の所属は理化学研究所ですが、(株)ギガフォトンで行われている極端紫外 (EUV)光を用いた次世代リソグラフィ用光源開発のプロジェクトに参加し、平均出力がキロワット以上の超短パルス光源の開発を担当しています。(ほとんど殺人光線です。)
学生の時には、「こんなに苦しいことは人生で2度と無い」と思っていたのですが、今のほうが数段大変です。それでも何とかやりくりし、 かつ現在の研究が面白いと感じているのは、研究室で鍛えられたおかげである と感謝しております。(それでも胃は痛いけど)

内田淳史 53期卒業生


2000年3月博士課程修了、メリーランド大学(アメリカ合衆国)経て、 埼玉大学工学部情報工学科教授
神成研に入る前は漠然と研究関係の仕事に就きたいと考えていましたが、神成研を選んだことによりその夢が実現中であります。)
研究者としての将来を歩む上で重要な事は、研究者としての基礎を見につけること。神成研は研究能力の向上に最適な環境です。神成研では、自分で選んだ研究テーマを心ゆくまで探求し、その分野の世界一を目指して研究活動を行います。研究成果を片手に国際学会に参加し、一流研究者とのディスカッションを通じて更なる切磋琢磨を続けます。最終的には国際的公刊論文へ研究成果を出版することで、世界的な視野における学問の構築に貢献できます。自分の書いた論文を図書館で閲覧したり、それらが世界中の研究者達に読まれていると考えると、個人的には非常に感激です。)
現在はアメリカ合衆国にて研究活動中ですが、神成研で培われた基本的研究能力のお陰で楽しい研究生活を過ごしています。情熱を持って研究活動に没頭できる、そんな環境が神成研にはあります。

宇藤健一 53期卒業生


現在、私は光通信システムに使われる光・電気信号変換用の装置(光トランシーバ)を開発しています。)実際は、レーザやフォトダイオード周辺の電気回路を設計・試作・製品化しています。)
学生時代に、半導体レーザアレー励起Nd:YLF(orNd:YVO4)レーザを研究していた事を考えますと、テーマは異なります。しかしながら、神成研で教わった研究に対する取組み方や姿勢は、卒業してからも正しかった事だと改めて思います。)
情報が溢れる中も、最後は自分の頭で課題を体系化し、必要なアクションを行い議論を重ね、最後は人にアピールする一連のプロセスは、何を研究・開発していても同じだと思います。毎週Meetingで揉まれていた事も良い思い出です。小さな成果だったかもしれませんが大きな達成感を神成研で得られた事は、自信にもつながりました。なかなか発振しなかったレーザが、最後に発振した時の喜びは格別なものでした。常に今後のビジョンを問われていますが、世に役立てる製品を是非創りたいと考えています。

高砂一弥 52期卒業生


●研究室で学んだもの
「考える力」
研究室では、“考える力”を学んだと思います。昨今考えなくても 何となく生きていける時代から考えたものが勝つ時代へと変わってきていると 思います。そんな時代のなか、研究室では自分で考えないと、論文は書けないという環境にあり、そこで培ったものは非常に大きいと思います。
「協調性」
最近つくづく感じることですが、人間一人の力というのは限界があります。しかしながら、“組織”で動くことで、人数の掛け算では得られない成果を上げることがかのうになります。研究室では、“チーム”という単位で 動くため、その点でも勉強になったと思います。
「メリハリ」
研究室では、忙しさに波があります。卒論、修論のシーズンには、みんな徹夜もいとわず実験を行います。一方、忙しいシーズンが終われば、 少し遊びの時間を時間を持つことも可能です。私は、学会発表でためた マイルで2月頃1週間程度の旅行を毎年していましたが、メリハリをつけた生活だったので、帰ってきた後、研究にも身が入ったかと思います。 現在も忙しい生活が続いていますが、忙しい中にも“遊び”の要素を入れ、メリハリをつけた方が成果が出ることを学びました。

● 勉学・研究の上で大事なこと
「信念」
先生に言われたことではありますが、40歳の時の自分を思い浮かべて、そのためには、何をしたらよいのか、どうすれば、その自分にたどり着けるのかといったことを考えて、行動することが重要だと思います。研究室卒業後、社会へ出ると思いますが、会社に“依存”しないで、 “自立”するためには、自分の信念を持っておくことが重要です。 「効率よく仕事すること」
社会へ出ると、学生の時と違って時間がないことが多いです。一方、仕事は数多く抱えることもあるかと思います。時間のない中で、いかに多くの仕事をこなすか、を考え、訓練しておくことがこれからは重要になってくると思います。
● 近況報告
私は、博士課程まで進み、3年間国のプロジェクトである”フェムト秒テクノロジー”に参画していました。昨年よりレーザー製造業のベンチャー企業であるサイバーレーザー株式会社へ移り、高出力フェムト秒レーザー装置の開発を行っています。まだできて3年のベンチャー企業ですが、社内外からフェムト秒レーザー装置は高く期待されており、非常にやりがいを感じています。

中田恒夫 49期卒業生


神成研究室では、神成先生の懐の深さ故、自分を思い切り試せます。
例えば、うまく行くと確信できたことでさえうまく行かないことの方が圧倒的に多い、というような当たり前のことも、自分が主体的に仕事できる環境があるからこそ肌身に感じて学ぶことができます。
別にそんなうぜぇもん学びたかねえよ。という意見も多いかと思いますが、そこを避けて通っているときっと社会でさらにうぜぇ目に遭い、そんときから自分を鍛錬しようと思っても場所も時間もないのです。 社会は旧態依然のフリをしながら、水面下では本質的な変化がすでに始まっています。だから、ハウツー本に頼るより、神成研のような、しっかり知の青春を謳歌できる研究室に入って、楽しみつつもしたたかに、自分をしっかり捕まえておくことが大切です。

今の神成研は、アニュアルレポートなどを拝見すると地道な準備の段階から、華やかな成果を量産するフェーズに入っていると感じられます。そこには「あたりまえでない」ことが日々実験されている日常があります。当然まじかよってことになるので論文も量産されています。いやー。今入ると楽しいと思いますよ。まじで。ただ、あやかりてーと思って入ってもだめです。
特に構える必要はないですが、おれ(わたし)はやるぜとは思っていて下さい。 最後に私の近況ですが、現在はモバイルネットワークの研究をしています。窮屈なことに企業秘密が多くてあまり内容語れません。大事なミッションを任されていることは確かで、会社人としてはありがたいことです。今はほとんど通信ソフト屋のようになっており、かなり物理寄りのテーマをてがけていた研究室時代からはだいぶ専門が変わりました。
でも、研究室で身に付けたことは役に立ってるんですなあ。 問題解決の勘所は、どこに行っても共通のものがあるもんです。
。。。と、書いてみましたがもう研究室選びって終わっちゃいました?
あちゃー。こういうことだと社会人失格です。
神成研に入られた皆様、おめでとうございます。後ほどお会いしましょう。
Page Top